季刊「SHIP!」第7号
10月30日発刊
【特集】ひきこもりと8050問題

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【目次】


《第7号・特集テーマ》
ひきこもりと8050問題
【巻頭言】子どもに「生まれてきてくれてよかった」のメッセージを

《特集 対談》
「9060問題」の時代をどう生きるか
対談 山口大学名誉教授 山根俊恵 × ジャーナリスト 池上正樹
ひきこもる本人と、その親がともに高齢化している。8050問題が9060問題へと移行しつつあるなか、家族には何ができるのか、行政には何が求められるのか。山口大学名誉教授であり、ふらっとコミュニティー代表の山根俊恵さんと、30年にわたりひきこもりの問題を追ってきたジャーナリストの弊誌発行人・池上正樹さんに語っていただいた。本人を変えるのではなく、安心して生きられる環境をどうつくるか。家族と行政、それぞれの立場から、9060問題への備えを考える。
文・写真/津田貴美子
構成/上田理香


《特集インタビュー》
高齢化率44パーセントの町で「8050家族まるごと支援」
岩手県洋野町NPO法人エンパワメント輝き理事長 大光テイ子さん
岩手県北東部、三陸海岸と太平洋に面する洋野町。人口は約1万4000人、高齢化率は43.8%に達する。この町では、高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターと、NPO法人エンパワメント輝きが連携し、ひきこもり状態にある本人と親を一つの世帯として支える「家族まるごと」の支援を続けている。その中心で活動する保健師の大光テイ子さん(74歳)に話を聞いた。
取材・写真:上田理香/池上正樹
文:上田理香


《特集インタビュー》
親と子の「まるごと支援」で、地域の福祉資源につなげる
八王子市「高齢者あんしん相談センター子安」センター長 中村真理さん
八王子ぶなの会(家族会) 櫻井惠子さん
高齢の親と同居していた子どもが事件を起こす、または孤立死に至るといったニュースを耳にするたびに不安に駆られる親は多いだろう。子どもを支えてきた親が倒れた後に、子どもが生活困窮や孤独死に陥るケースもあり、ひきこもりが長期化するなかで親子を支える仕組みが必要となってくる。この問題に早い時期から積極的に取り組む自治体の一つが東京都八王子市。八王子市地域包括支援センターの「高齢者あんしん相談センター子安(以下、センター)」センター長の中村真理さんに、課題や取り組みについて話を聞いた。
取材・文 佐久間真弓
取材・撮影 石井英資/上田理香


《当事者座談会》
8050の「50」たちがリアルを語る座談会
「8050」。ひきこもる50代の子と、その80代の親を表す言葉で、近年では「8050問題」などという言葉も耳にする機会が増えている。しかし、ひきこもる「50」の当事者の生の声を聞くことはなかなかない。今号では、40代、50代のひきこもり当事者・経験者4人に、中高年ひきこもりを生きることのリアルを語ってもらった。
構成:石井英資
撮影:上田理香


《居場所》
認知症の方とご家族が立ち寄れるオープンな居場所
町田市・Dカフェの取り組み
認知症について気になった時に誰もがふらっと立ち寄って情報を得られるオープンな場が、東京都町田市の認知症カフェ、通称「Dカフェ」だ。ひきこもりがちな家族や本人も含め、みんなにとってのオープンな居場所となる取り組みを取材した。
取材・撮影・文:時綾佳
取材コーディネート:ナオキ

《マイボイスユアボイス》
不登校だった私が、母になって気づいたこと ~親子で「SOS」を出せる社会へ~
藤野まい
8050問題の当事者は、親子だけではない~ひきこもりの兄をもつ妹の本音~
環しのぶ
8050から9060に向かう暮らしの中で
NPO法人 津山・きびの会 川島和子



《インタビュー》
教育現場に「ゆとり」、先生に「笑顔」、子どもに「安心」を
名古屋大学大学院教授 内田良さん
不登校35万人超(2024年度)、小中高校生の自殺者数538人(2025年)と過去最高となっている日本。大人の余裕のなさや多忙による皺寄せが、子どもに向かってしまっているのではという懸念がある。名古屋大学大学院教授、教育社会学者の内田良さんは、長年「子どものリスクを減らそう」と組体操事故やスポーツ事故などを研究し、10年前からはブラック校則、教員の長時間労働や働き方改革について研究・発信している。そんな内田さんが、学校問題について語った。
取材:カサンド蘭子、西村陸、上田理香
文:カサンド蘭子
構成:西村陸


《インタビュー》
居場所には、人を元気にするちからがある
認定NPO法人フリースペースたまりば理事長 西野博之さん
「ぼく、もう大人になれない。自分は1段目の階段を踏み外しちゃって、学校に行けなくなったから……」。楽しみにしていた小学生になった途端、学校に通えなくなったS君の言葉だ。西野さんの居場所づくりの第一歩は、この少年との出会いだった。その日以来「フリースペースたまりば」「子ども夢パーク」「フリースペースえん」「川崎若者就労・生活自立支援センター『ブリュッケ』」などの設立や運営に携わってきた西野さんに、居場所への思いと、未来に向けた提言について聞いた。
取材:津田貴美子/上田理香/老川素子
文・撮影:津田貴美子
構成・撮影:老川素子


《講演実録》
いじめのトラウマはどのようにして生まれるのか?
子どもいじめ防止学会評論家 荻上チキさん
2026年7月11日と12日に「一般社団法人 子どもいじめ防止学会」の第2回学術大会が、東京医科大学病院で開催された。その中で、いじめ・教育・福祉など広い分野で社会活動や調査、発信を行っている評論家の荻上チキさんが登壇。「いじめ対策は『根拠なき熱意』から脱却できるか」というテーマで話した。
取材:本多寿行/佐久間真弓/上田理香
文:本多寿行
構成:佐久間真弓


《インタビュー》
感覚特性による生きづらさを紐解く~特性は伸ばすべきスキル~
北里大学教授 高橋香代子さん
北里大学教授 高橋香代子さん
『SHIP!』4号で、視覚や聴覚などの感覚が敏感で刺激を受けやすく、日常生活に苦痛を伴う「感覚過敏」を取り上げた。また「HSC(人一倍敏感な子)/HSP(人一倍敏感な人)」という言葉もあり、過敏さが生きづらさや不登校、ひきこもりの背景にある可能性は否定できない。そこで、作業療法士で感覚過敏当事者でもある北里大学教授・髙橋香代子さんに、感覚過敏・鈍麻(どんま)、伸ばすべきスキル、誰もが生きやすい社会へのヒントを伺った。
取材:上田理香/時綾佳/老川素子
文・撮影:老川素子
構成:時綾佳


《家族の声》
「山形市ひと休みびと支援条例」を生んだ家族の願い
山形市ひきこもり家族会「かたばみの会」代表 田中美枝子さん
山形市で、ひきこもらざるを得なくなった子をもつ親と支援者の会「かたばみの会」の代表を務める田中美枝子さん(75歳)。18年前、自身の息子が24歳で部屋から出られなくなったことをきっかけに、行政の支援と家族が求める支援とのずれに悩んできた。やがて、同じ悩みを抱える家族5人で「かたばみの会」を立ち上げ、「ひきこもり」への偏見をなくし、本人が安心して暮らせる地域社会を目指して、条例の制定を求める声を上げた。そこに至るまでの田中さんの歩みと願いを聞いた。
取材:上田理香/津田貴美子
文・構成:津田貴美子

《手記》
「不登校」の歴史に見る「明るい当事者」像への反省
「自分を肯定したわけじゃないんだぜ」 喜久井伸哉

《連載》
連載 第3回 ファイナンシャルプランナー畠中雅子さんに聞く
ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の畠中雅子さんは、
34年前から関東を中心に、ひきこもりの子どもがいる家庭に向けたセミナーや相談業務を行っている。そのなかで「サバイバルプラン」と呼ぶ、親の持つ資産を活用して、親亡き後の子どもの生活を支えるライフプランを立てることを提唱している。畠中さんは、サバイバルプランを成り立たせるためには、公的制度や民間商品を利用することも大切だと話す。今号では、セミナーなどで多く話題にあがるという生活保護制度や、畠中さんお薦めの保険商品についてうかがった。
取材・構成:村田くみ
取材・文・写真:舟尾徳子

《連載》
連載 第3回『精神科医がこころの病気を解説するCh』 益田裕介さんに聞く
2026年9月現在、登録者数が70万人を超えるYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」で、日々積極的に情報発信を行っている益田裕介さん。ひきこもりながら生きていくなかで苦しみが生じた場合、それにどう向き合っていけばよいのか、またその際にどのようなものに頼るのがよいかということについて話を聞いた。
文:石井英資
取材:石井英資/飯田惠美子/菊野静子
撮影:菊野静子

《SHIP!×ART》
久保田智子 作品タイトル「栗の絵」
初めて美術館で絵を見た時「なんかわかんないけど、すごい」そんな感じでした。
時間も国も全部超えて、空も海も、花も木も人も、目の前で生きていました。私にはなかったとらえ方や表現、それぞれ違ってそれぞれ良いと感じました。私も絵を描けたらと思い、パステル画教室に月2回通い始めました。生徒は年齢も仕事もバラバラでしたが、絵を描く時
はそんな違いは関係なくて、思い思いに個々のペースで描いてお互いの絵に感心したりしました。絵は私に色んな出会いのきっかけをくれたように思います。出会えたことをありがたく思い、また絵を続けていきたいです。現在、「フォルトネット ねころんだ」に所属。
霜垣太一 作品タイトル「馬の絵」
中学在学中に不登校となり4年間。18歳のころ、少しずつ外に出るようになり、母の知人から「フォルトネット ねころんだ」の存在を知り、通い始める。徐々に社会との接点が生まれ、23歳の時に定時制高校へ入学。卒業後は上京し、東京で初めての一人暮らしを始める。 この絵は私が18歳の時、出身地である集落の文化祭でアクセサリーや絵などの手芸を出す企画がありました。その際、祖父から「絵を描いて出してみたら」と言われて描いた絵です。この馬の絵は、とても評判が良く、不登校・ひきこもりになってから話さなくなってしまった集落の方々と、話す機会が生まれました。今思えば、この絵を描いたことが外に出るきっかけになったのかもしれません。


《SHIP Photo》
「たくさんの失われた窓のために 内海昭子のアート作品」
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレにて撮影
中越地震をきっかけに生まれた作品。大自然を生かし、光の強さで感じ方が変わる。揺れるカーテンは、風を表現。「地震が起きても、この景色が続くように」と作者の願いが込められている。
「道端の草」
このモチーフに出会ったとき、厳しい冬を乗り越えた生命力を感じた。
撮影・瀧本裕喜
18歳から7年間、家族とも顔を合わせず、自分の部屋にひきこもる。長い長い自問自答の日々の末、夢の中での理想の自分との対話により、ひきこもり生活に終止符をうつ。現在は、写真教室でカメラの勉強をしている。


《連載》
第3回「家族会」ってどんなところ?
親と元当事者が共に創る24周年を迎えた〈KHJとちぎベリー会〉
不登校やひきこもりを経験する本人と家族にとって、家族会とはどのような場所なのか。栃木県宇都宮市を中心に活動する「KHJとちぎベリー会」は、学習講演会とグループ相談会、居場所づくり、相談活動を重ね、2026年で発足24年を迎えた。会を支えるのは親だけではない。ひきこもりを経験した人たちも運営に加わり、自分の言葉で家族に思いを伝えている。長い活動のなかで、親たちは何を学び、どう変わってきたのだろうか。 取材:松永和歌/上田理香
文:上田理香





