季刊「SHIP!」第5号 特集「ひきこもりと働く」

季刊「SHIP!」第5号
4月30日発刊

【特集】ひきこもりと働く


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【目次】

《第5号・特集テーマ》

ひきこもりと働く

【巻頭言】誰もが「自分らしく生きられる」新しい社会を

《特集インタビュー》

「働く」とは何か? 誰もが自律的に自分の人生を選択できる社会を
白梅学園大学名誉教授・長谷川俊雄さんに聞く

「働く」ことを考える上で、自分の意思や希望などと向き合い、どういう生き方をしたいかを描くことが大切だ――白梅学園大学名誉教授で、厚生労働省「ひきこもり支援ハンドブック」策定委員会委員長でもある長谷川俊雄さんはそう語る。一人ひとりの多様性に目を向け、自ら生き方をデザインする「自律」について考える。
取材:上田理香/石井英資/池上正樹/時綾佳
文:時綾佳 構成:石井英資

《特集(地域発)》

一人ひとりに合った働きやすい場と体験と
「東久留米モデル」で地域のネットワークを構築し、超短時間雇用を実現

ひきこもりの就活は「本人の努力不足」「甘えだ」と批判されがちで、うまくいかないケースが多い。ひきこもりUX会議が調査した『ひきこもり白書2021』では、当事者の6割近くが「働きたい」と回答。働けない理由の8割は「働く自信がない」。これまでの就労現場がいかに当事者のニーズや働きやすい環境とマッチしていなかったのかがわかる。就労条件のハードルを下げ、当事者目線のサポートがあれば働ける。それを実践しているのが、東京都東久留米市の支援団体と東久留米市商工会と近隣商工会だ。地域で連携し、超短時間雇用を実現した3人のキーパーソンに話を聞いた。
◎林 恭子さん(一般社団法人ひきこもりUX会議 代表理事)
◎時田良枝さん(一般社団法人Polyphony・ポリフォニー代表理事)
◎疋田(ひきた)昌浩さん(東久留米市商工会地域人材確保総合支援事業プロジェクトマネージャー)
聞き手 佐久間真弓、上田理香(SHIP!発行人)

《特集インタビュー》

感謝が生まれる職場の先に見える希望の街づくり
「超短時間雇用モデル」を提唱する
東京大学先端科学技術研究センター教授・近藤武夫さんインタビュー

「障害者雇用の人数を満たすために雇われるのではなく、ただの一人の従業員としてふつうにあてにされ、活躍できる仕組みを作りたい」と語るのは、超短時間雇用モデルを提唱する東京大学先端科学研究センター教授・近藤武夫さん。小・中学校の頃から関わってきた子どもたちは、高校、大学、そして就職へと進んでいく。しかし、その就職の段階で大きな壁にぶつかる若者は少なくない。
 近藤さんが長く障害者教育の研究に携わるなかで必然的に生まれたのが、1日15分、週1時間から働ける「超短時間雇用モデル」。その展望と課題について話を聞いた。
取材:村田くみ 石井英資 上田理香 がきんちょ 津田貴美子 文:津田貴美子
構成:村田くみ 石井英資

●私の働く生活ストーリー! 超短時間雇用で働く
なぜ超短時間雇用を選んだのか  がきんちょ(東京都)

《特集(地域発)》

人との出会いによって、踏み出せた一歩
江戸川区営〝短時間雇用〟で働く

「働くこと」にどんなイメージを持っているだろうか。「楽しい」「生きがい」などのポジティブな思いだけでなく、「こわい」「面倒くさい」「経験がないから働けない」といった不安や不満を思い浮かべる方も多いかもしれない。しかし、ひきこもり状態から自立するうえで、働くことは大切なステップとなる。
東京都江戸川区では民間企業と連携して、ひきこもり状態にある方に向けた居場所や短時間の就労体験、求人紹介や就活相談などの無償提供に取り組んでいる。
そのなかでひきこもりや不登校の人の居場所と就労体験の場を提供している、医療法人社団しろひげファミリーの関連会社、株式会社ホワイトビアードが運営する駄菓子屋居場所よりみち屋(以下、よりみち屋)で働く人たちに話を聞いた。
取材・文・写真 舟尾徳子 構成・村田くみ

《座談会》

働くことに悩んできた
ひきこもり経験者たちが、働くことについて語る座談会 

「社会参加」は、ひきこもり支援の場でも1つの「ゴール」として扱われることがある。しかし同時に、その「社会参加」というものが暗に「就労」を指すことも多く、ひきこもりの当事者を苦しめている側面もある。
本座談会では、働くことに悩んできた元ひきこもり当事者たちに、働きたいか、働いていた時にどんな思いを感じたのか、働くことの意味とはなんなのか、など思いのたけを語ってもらった。
取材・校正・撮影/やまだ

《特集(地域発)》

高知県四万十市
解体会社が当事者と始めた〝車福連携〟の可能性
「つくるのは苦手だけど、壊していくのは単純に楽しい」

高知県四万十市にある自動車解体会社が、廃車を壊し、カーナビやモーターなどをリサイクル部品として再資源化する作業を市内の複数の福祉事業所に依頼。ひきこもり状態の人や生きづらさを抱えた人、障害のある人たちの仕事をつくりだしている。「解体」という一見ハードそうな仕事で、なぜ当事者たちは自らの力を発揮できるのか?それぞれの特性に合わせた働き方の実態はどうなのか?そんな“車福連携”の現場の取り組みと、その可能性について取材した。
取材:池上正樹/上田理香   執筆:池上正樹

《メタバース・ショートワーク体験》

「生成AI」を学んで在宅ワーク
メタバースを使った札幌市のショートタイム体験会に参加してみた

近年、インターネット端末の普及やデジタル技術の進歩により、在宅ワークは社会に広く浸透しつつある。一方、ひきこもり当事者(以下当事者)が在宅で働く環境は、十分に整っているとはいえない。そんななか、当事者を対象とした、メタバースを使ったショートタイムワーク体験会が、札幌市で開催された。実際に筆者が体験会に参加し、主催のNPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク(以下レタポス)代表の田中敦さんや、体験会に参加された当事者の方にお話を伺った。
取材:ひきこ・F・もりお/石井英資  文:ひきこ・F・もりお

《特集(地域発)》

稼ぐだけが働くことではない。生きていく術はいくらでもある!
NPO法人「仕事工房ポポロ」代表 中川健史さん

人はなぜ、働かないことに負い目を感じるのだろう。学校、就職、結婚──「こうあるべき」というレールから外れると、不安や引け目を抱えてしまう。
「稼ぐだけが、働くことではない」。
 そう語るのは、岐阜県岐阜市でひきこもり状態になったり、仕事に就けない若者への就労体験の場を提供するNPO法人「仕事工房ポポロ」を運営する中川健史さん(71)。2007年に設立。そもそも45年ほど前に始めた学習塾をきっかけに、非行少年、不登校、ひきこもりなど、時代とともに姿を変える子どもや若者たちと向き合ってきた。そして、今や10代から80代まで、生きづらさを感じる全世代の人たちがポポロに集まって来る。
 彼らとの関わりのなかで中川さんが見つけたのは、レールとは無縁でも、満ち足りた生き方だった。
取材:池上正樹 松永和歌  文:松永和歌  構成:津田貴美子

《マイボイスユアボイス》

「焦るな、そのままでいいよ!」
~ひきこもりと就労を行き来した私~  野間俊行

「死ななくて本当によかった」
重度のひきこもりから、世界とつながる日常へ 山添博之





《インタビュー》

連載第2回 西鉄バスジャック事件から25年
我が子のことが見えていますか~事件から考える親子のかたち~
佐賀県佐賀市で活動する 親の会「ほっとケーキ」代表/フリースペース「ハッピービバーク」代表 山口由美子さん

2000年5月3日。佐賀駅バスセンター12時56分発福岡天神行きの西鉄高速バス「わかくす号」は、佐賀駅前を出発し、高速道路に入ってまもなく17歳の少年に乗っ取られた。15時間にわたって乗客を人質に立てこもり、山口由美子さんを含む数人が重症を負った。そして、同乗していた恩師の塚本達子さん(享年68)※は命を失った―。山口さんの顔には今も左頬から唇にかけて傷跡が残り痛みも伴うというが、事件から時が経つと共に加害者を憎むよりも更生を願い、少年を追い詰めた「社会」に目を向けつつ、不登校の子どもの居場所を作るきっかけにもなった。 この社会を震撼させた事件の背景を考えるとき、山口さんは「親子関係を丁寧に紐解いていていくことが鍵になる」と話す。今回は、加害少年の両親との面会で感じた違和感を手掛かりに、事件があぶりだした家庭の姿を見つめていく(※事件当時の経緯や山口さんの恩師だった塚本さんとの関係については、『SHIP!』第2号・連載第1回を参照)。
取材:村田くみ 松永和歌 津田貴美子  文:松永和歌  構成:津田貴美子

《歴史・手記》

知られざる「ひきこもり」の歴史
いつから「こもる」ことが問題になったのか? 喜久井伸哉

「ひきこもり」はいつから問題になったのだろうか? 何らかのかたちで「閉じこもった人」というだけなら、古今東西のどこにでもいただろう。日本神話の「古事記」にも、アマテラスが「天の岩戸」に閉じこもった逸話がある。昔の仏教の修行僧は、何年ものあいだ山中や寺中にこもることがあった。5世紀頃に実在したという達磨大師(だるまたいし)は、あまりにも長く坐禅修行をし続けたために、手足が衰えたという話が残っている。これは手足のない「だるま」の置物のルーツにあたるものだ。 『広辞苑』の「こもり(隠・籠り)」の項目にも、「①こもること。隠れてあらわれないこと。②社寺に泊って請願をこめること」とあるとおり、仏教において「こもり」は重要な営みだった。現代でも「居籠祭(いごもりまつり)」「夜籠り祭」といった祭礼が各地に残っており、日本文化の一部を形成している。(つづきは本誌にて)

《連載》

新連載 第1回 ファイナンシャルプランナー畠中雅子さんに聞く
自分や配偶者が亡くなった後、ひきこもる子の生活をどう支える

不安を抱えていても、人には相談しづらいのがお金の悩み。
特にひきこもりの子どもがいる場合には自らの老後だけでなく、自分や配偶者が亡くなった後の子どもの生活についても考えておかなければならない。
ファイナンシャルプランナー(以下、FP)の畠中雅子さんは、34年前から関東を中心に、ひきこもりの子どもがいる家庭に向けたセミナーや相談業務を行っている。そのなかで「サバイバルプラン」と呼ぶ、親の持つ資産を活用して、親亡き後の子どもの生活を支えるライフプランを立てることを提唱している。
本誌では全4回の連載を通じて、「サバイバルプラン」の考え方をはじめとして、設計の軸となる資産の棚卸しや住居の確保、保険や年金制度の活用方法、生活術に至るまで、ひきこもり状態の子どもが、親亡き後も穏やかに安心して暮らしていくために備えるべきポイントなどをうかがっていく。
取材・構成:村田くみ  取材・文・写真:舟尾徳子

《きょうだい》

制度の狭間-8050・兄弟姉妹の立場から
「家族を見捨てるわけにはいかない」 きょうだいに強いられる経済的負担

長期化するひきこもりによって、親が80代、子どもも50代と高齢化するにつれて、社会的な孤立と生活困窮のリスクを抱える「8050問題」。兄弟姉妹(以下「きょうだい」)も直面する問題だと言うのは、KHJ全国ひきこもり家族会連合会(以下、KHJ)の本部事務局のソーシャルワーカー・深谷守貞さん。
法的な扶養義務は課せられないのだが、「家族を見捨てるわけにはいかない」という道義的責任感や罪悪感から、無理をしてでも援助を続けてしまう傾向がある。深谷さんに「支援制度の抜け穴・制度の狭間」について伺った。
取材・文・写真 清川玲奈  構成・村田くみ

《連載》

新連載 第1回『精神科医がこころの病気を解説するCh』 益田裕介氏に聞く
「ひきこもりからの回復」とは? 家族ができることとは

2026年3月現在、登録者数が70万人を超えるYoutubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」で、日々積極的な情報発信を行っている精神科医・益田裕介氏。精神医学のみならず、近現代の思想からAI(人工知能)まで幅広く豊富な知見を有している益田氏に、精神科医療から見たひきこもりと、家族の関わり方、そしてひきこもりからの回復について聞いた。
取材:飯田惠美子/石井英資/池上正樹/上田理香   文:飯田惠美子

《SHIP!×ART》

SHIP×ART  藤田チャコス

作品タイトル「この場所に生きる」
<藤田チャコス プロフィール>
画家。幼少期に親しんだ児童文学や民藝品の中にある透明性に憧れて描いていますが、中学生の頃に不登校となり、中高合わせて2年ほどしか登校できなかった自分への憤りもたまに噴出しています。
授業で油絵に出会い「高校でも描きたい」と進学を決意。定時制と全日制を組み合わせた高校に進学し、絵に没頭するなかで癒されてきた気がします。多摩美術大学大学院修了。 Xアカウント @chacos17

《SHIP文学》

SHIP文学 短歌 白群

短歌 
<白群(びゃくぐん)プロフィール>
21世紀生まれ。ミスiD2021にて、サバイバル賞、大森靖子賞、アメイジングミスiDを受賞。歌作を核に創作活動を展開する。中学1年生の後半から不登校。全日制高校に入学後、五月雨登校から再び不登校に。高校2年生で通信制高校に転学。通信制大学に進学するも1年で中退。事務員として2年半の企業勤めを経験したのち、現在は、父の会社を手伝っている。2026年1月に『歌集セーブポイント』を恥露離庵より刊行。
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